フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
ニレ(エルム)の木の特徴とは?オークやケヤキとの違いも解説
投稿日:2024.09.09/更新日:2024.09.09
鮮やかな木目と淡い色合いが魅力のニレ材は、家具や内装、楽器などさまざまな製品の材料として高い人気を誇ります。
似た特徴をもつ木材としてオークやケヤキもありますが、これらに比べるとニレはあまり聞き馴染みがなく、初めて耳にしたという方もいるかもしれません。
そこで本記事では、ニレ材の特徴や主な用途、似た特徴をもつ木材との違いについて詳しく解説します。
Contents
ニレ(エルム)材の特徴
ニレは北米やヨーロッパ、東アジア北部のほか、日本国内では北海道にも分布している落葉広葉樹です。
ニレ科ニレ属の木を総称して「ニレ」とよんでいますが、一般的に木材として使用されているのは「ハルニレ」という樹種で、別名「エルム」とよばれることもあります。
ニレ材はさまざまな用途に活用されていますが、木材としてどのような特性・特徴があるのでしょうか。
ねばりが強い
ニレ材はねばりが強く、しなやかで柔軟性に優れた木材のひとつです。
加工時に割れにくいため曲げ加工がしやすく、曲線的なデザインや複雑な形状にも対応できることが大きな特徴といえます。
強度に優れている
しなやかさだけでなく、木材そのものが重硬で強度に優れていることも大きな特徴といえるでしょう。
大きな衝撃や力が加わっても割れにくく、耐久性や耐衝撃性が求められる製品への加工にも適した木材です。
ただし、強度に優れているということは木材が硬く加工がしにくいことも意味します。特にDIY初心者にとっては切削や裁断が難しく、高度な技術が求められます。
美しい木目を持つ
ニレ材は産地や生育環境によって個体差はあるものの、断面は黄色みがかった白または薄い茶褐色をしています。
また、色の濃い中心部分の心材とその周囲の辺材は色の境界線がはっきりとしており、木目は比較的荒いため手触りは柔らかくしっとりとしています。
ニレ材と他の樹種との違い
ニレ材は他の樹種と比較して共通する特徴も多くあります。特に混同されやすい樹種と、それぞれの違いをご紹介しましょう。
ケヤキ材との違い
ニレとケヤキの大きな違いは産地が異なる点です。
冒頭でもご紹介した通り、ニレは北米やヨーロッパ、日本では北海道などに分布していますが、ケヤキはそれよりもやや南の本州から九州、および東アジア全域が産地となっています。
そのため、国産木材としてはケヤキ材のほうが比較的流通量が多い一方で、高級木材としての需要も高いため高価です。
木材の特性を比較してみると、硬く加工が難しい点や耐久性に優れていること、美しい木目などの共通点が見られます。
オーク材との違い
オークもニレと同様に落葉広葉樹の一種で、日本では「ナラ」とよばれることもあります。
主な産地は北米で、ホワイトオークやレッドオーク、ミズナラなどさまざまな樹種が存在します。
オーク材の最大の特徴は虎斑(とらふ)とよばれる美しい木目が現れることで、この模様を活かして作られる家具や楽器は高値で販売されています。
また、ニレと比較すると、木材そのものが硬く耐久性に優れている点が共通しています。
タモ材との違い
タモはロシアや中国北部、朝鮮半島、北海道などに分布している落葉広葉樹です。
ニレ材と同様に木材は硬くしなやかさもありますが、タモ材は比較的加工がしやすく経年による狂いも少ないことが特徴です。
また、木目が粗く手触りが柔らかい点も両者に共通するポイントといえるでしょう。
関連記事:スプルース材とは?主な用途と産地別の種類について解説
ニレ材の主な用途
ニレ材は古くからさまざまな用途に活用されてきた歴史があり、私たちの生活にも密接に関わっています。代表的な用途をいくつかご紹介しましょう。
家具材
重硬で耐久性に優れたニレ材は、収納棚やタンス、テーブルなどの家具材として重宝されてきました。
特に、ニレ材で作られた収納棚やタンスは重厚な見た目で高級感を演出できます。
耐久性が比較的高く傷もつきにくいニレ材は、一生ものの家具を作るための材料として最適です。
建築用材
建築用途としては、主に家屋の内装材として使用されることが多くあります。
特に代表的なのがフローリングや壁板、天井板などで、木目が明瞭で美しいことが人気の要因として考えられます。
装飾材
装飾材とは、主に天井の廻り縁やドア枠、窓枠などのモールディングや、柱や壁などのデザイン性を高めるために施される材料のことです。
ニレ材を用いることで高級感を演出でき、ほかの木材には表現できない独特の風合いが楽しめます。
楽器材
ニレ材は柔軟でしなやかな特性があることから、主に太鼓やドラムなどの楽器の材料として多く用いられてきました。
太鼓やドラムの胴部分は木材を円筒状に加工する必要があり、乾燥してもヒビや割れが生じにくい木材が求められるためです。
舟材
ニレは水にも強く、特に空気に触れることがなければ腐りにくいという特徴もあります。
このような特性を活かし、ヨーロッパでは古くから水道管として活用されてきた歴史がありますが、日本をはじめとした国々では舟材としての需要も多くありました。
関連記事:欅(ケヤキ)の木とは|木材の特徴や原木価格、使用される家具を紹介
ニレの床材としての特徴
(エイジング加工を施したニレのフローリング↑)
古くからさまざまな用途に活用されてきたニレ材ですが、近年では特にフローリング材として安定した需要があります。
ニレを床材として活用することで、どういったメリットがあるのでしょうか。同時に、懸念されるポイントもあわせてご紹介します。
空間を明るくする
ニレは中心部分ほど色が濃く、外側は白っぽい鮮やかな色合いが見られます。
特に外側の辺材は比較的安価で入手しやすいためフローリング材には最適で、独特の木目と鮮やかな色合いによって明るく華やかな室内空間を演出できます。
歩行時の感触が良い
ニレ材は木目が粗くソフトな手触りが特徴的です。また、手や足で触れたときには適度なしっとり感もあり、肌に優しくフィットするような心地よい感触も得られます。
さらに、ニレ材は適度な柔軟性としなやかさも持っているため、フローリング材として用いることで歩行時の感触が良く、木の温もりを感じられるでしょう。
耐摩耗性には懸念がある
ニレ材の弱点やデメリットを挙げるとすれば、摩擦に弱いという点です。
木目が荒いということは木材の表面に摩擦が生じやすく、慎重に扱わないと細かな傷やスレ、摩耗が現れる可能性があります。
そのため、ニレ材をフローリング材として使用する際には摩耗から守るために厳重なコーティングを施す必要があり、こまめなメンテナンスも不可欠です。
関連記事:オーク材とはどんな木材?特徴やメリット、使われる家具を紹介
まとめ
特徴的で珍しい木目の材料をお探しの方や、部屋をおしゃれな雰囲気にしたい方などにとって、ニレ材はまさに理想的な木材といえるかもしれません。
特に家具や内装の材料として活用することで、部屋の雰囲気が変わり高級感が感じられるようになるでしょう。
ただし、ニレ材は木材そのものが硬く加工がしにくいという特性もあるため、DIYの経験がない初心者にとってはハードルが高い材料でもあります。
また、一般的なホームセンターなどでは入手できない可能性もあるため、ニレ材をお探しの方はフルタニランバーまでお問い合わせください。
フルタニランバーでは国内外の産地から高品質な木材を仕入れており、目的や用途に合わせて加工も承っています。