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フルタニランバー株式会社

コラム「森のフルタニさん」

合板とは?基本の定義から製造工程・種類・用途まで徹底解説

投稿日:2025.03.05/更新日:2025.03.05

合板という名前を知ってはいても、その定義や製造工程、種類までご存じの方は多くないのではないでしょうか。

 

本記事では、合板に対する基本の定義を詳しく解説します。

 

併せて、製造工程や種類、合板の用途も含めて解説します。

 

合板とは

材料となる原木を桂むきのように薄く剥き乾燥させた板材を、単板(ベニヤ)と呼びます。

 

単板の繊維方向が一枚ごと交差するように重ね、接着剤を用いて貼り合わせた板が「合板」と呼ばれる板材です。

 

合板の特徴

合板は、単板とは異なり複数の板を貼り合わせることで強度が増すといった特徴を持ち合わせている、汎用性の高い板材です。

 

合板が持つ6つの特徴について、詳しく解説していきます。

 

高い強度と軽量性

一枚の単板と違い、複数の単板を貼り合わせることで、高い強度を持っています。

 

また、貼り合わせる際に繊維を一枚ごとに交差させることも、強度が高くなる理由として挙げられます。

 

高い強度があるにも関わらず軽量であることも、合板ならではの特徴です。

 

軽量で取り回しがしやすいため、建築用途だけでなくDIYの材料としても適した板材といえるでしょう。

 

広い面積の確保

合板には、さまざまなサイズのものが流通していますが、いずれも一枚の板で広い面積を得ることができます。

 

合板の代表的なサイズは、以下のとおりです。

 

910×1,820mm 910×2,430mm 910×2,730mm 910×3,030mm

(幅mm×長さmm)

その他にも幅が1,000mmや1,220mmの板も流通しています。

 

しかし、日本の建築現場では古くからある尺貫法で計算されることが多いです。

 

そのため日本国内では、910mm(約3尺)や1,220mm(約4尺)のサイズが広く流通しています。

 

寸法安定性が高い

素材や厚みなどによって異なりますが、膨張率が低く、使用後の寸法安定性が高いことも合板の特徴です。

 

厚み6mm、構成比0.57のラワン合板の場合、含水率1%あたりの膨張率は次のとおりです。

 

  • 0°方向に対する膨張率0.023%
  • 90°方向に対する膨張率0.021%

(公益財団法人 日本合板検査会より)

 

単板を張り合わせ複数の層にすることで湿気などによる反りや膨張が少なくなり、建物の構造や家具など、さまざまな場面で使用しても寸法が安定することが合板の大きな特徴です。

 

加工が容易

加工が容易なことも、合板の特徴の一つです。

 

強度が高いにも関わらず切断しやすく、比較的簡単に切断することができます。

 

また、繊維方向が交互になっているため、釘を打tたりビスを入れたりしたときに、割れにくいといった特徴もあります。

 

面としての強度

合板は、建築物の構造でも使われるほど、面としての強度が高いです。

 

例えば、面の強度が弱い板材を床や壁に使用した場合、建物の構造はとても脆弱になります。

 

繊維方向を変えながら張り合わせた合板の面には、高い強度があります。

 

用途に適した厚みの合板を選択することで建物の強度を高くし、長期にわたって安心して使用することが可能です。

 

断熱性・吸音性に優れる

素材や厚み、加工方法によっても異なりますが、合板は密度が高いため断熱性能が優れています。

 

密度の高さは音の響きを抑える効果もあります。例えば、集合住宅の床に使えば足音が階下へ響きにくくなる、といった効果が期待できるでしょう。

 

合板の樹種

合板の素材となる樹種はさまざまで、樹種によって合板の特徴も異なります。

 

合板で使われる代表的な樹種をご紹介するので、合板選びの参考にしてはいかがでしょうか。

 

ラワンベニヤ

フタバガキ科という広葉樹の総称である「ラワン」から作られたベニヤが、ラワンベニヤです。

 

表面の目目があまり目立たず、ざらざらしていることがラワンベニヤの特徴です。

 

扱いのしやすさから、家具の裏板や建材、DIYの材料として幅広く用いられています。

 

シナベニヤ

ラワンと同様に広葉樹の仲間であるシナノキを加工したシナベニヤは、色白く綺麗な表面をしています。

 

繊維が均一なため柔らかいですが、曲げに強く軽量なため、加工がしやすいなどの特徴があります。

 

関連記事:シナ材とは?用途や使用される家具について紹介

 

ポプラ合板

同じく広葉樹であるポプラを加工した合板は、シナベニヤと同様に軽く柔らかいので、加工がしやすい合板です。

 

白や淡い黄色といった薄い色のため、塗装を施す箇所での使用に適しています。

 

また、他の樹種と比較して成長が早く供給が安定してるので、価格が安定していることもポプラ合板の特徴です。

 

ecoシラ合板

広葉樹である白樺の間伐材から作られた合板は、高い強度と品質があります。

 

白樺の木は、その木目と耐久性によって、古くから工芸品や造作家具の材料として使われてきました。

 

また成長速度が早いので、計画的に伐採と植樹を繰り返すことで、環境にも優しい木材です。

 

そのため、ecoシラ合板という名前のとおり、環境保護に適した合板といえます。

 

関連記事:樺(カバ・カンバ)の木材としての特徴や用途について詳しく解説!

 

針葉樹合板

ヒノキや杉、カラマツなどの針葉樹から作られた合板は「ラーチ合板」とも呼ばれ、広く流通しています。

 

素材となる樹種によって特徴は異なりますが、木目が荒く、表面にざらつきのあるものが多いです。

 

そのため、針葉樹合板を使用するときには、手が触れる部分にヤスリ掛けをする必要があります。

 

高い強度と独特な木目を持つため、インテリア材やDIYの材料として使われています。

 

関連記事:ヒノキ(檜・桧)の木材としての特徴や欠点について|ヒバとの違いも解説

 

ジェルトン合板

広葉樹であるジェルトンは柔らかく、光沢のある明るい黄白色が特徴的な木材です。

 

内装材として使われるだけでなく、加工のしやすさから彫刻や建築模型の素材として、幅広く使われています。

 

合板の種類

合板には、用途によってさまざまな種類があり、JAS(日本農林規格)によって分類が定められています。

 

普通合板

用途が特に定められていない合板の総称が「普通合板」です。

 

塗装などの加工が施されておらず、DIYなど幅広い用途で使われています。

 

構造用合板

建築物の壁や床、屋根などの下地として使われる、高い強度がある合板を構造用合板と呼びます。

 

建築物の強度に直結するため、構造用合板は使用目的によって強度や厚みが細かく定められています。

 

コンクリート型枠用合板(コンパネ)

コンクリートを流し込むために設置する型枠に使われるのが、通称「コンパネ」と呼ばれる合板で、正式にはコンクリート型枠用合板といいます。

 

コンクリートを流し込むために高い耐水性がありますが、表面が粗いものが多く、家具などの材料として使われることは少ないです。

 

化粧合板

普通合板の表面に天然木の単板を張り合わせて、仕上がりを目的として使われる合板が「化粧合板」です。

 

建築物の内装や家具、什器といった目に見える部分に使われています。

 

防火合板

消防法で定められた防炎性能基準の条件を満たした合板が「防火合板」と呼ばれ、イベント会場の大道具や展示物の下地など、人が多く集まる場所で使われています。

 

表面にリン酸アンモニウムや硫酸アンモニウムなどの薬品を塗布することで、自己消炎性を持たせています。

 

耐水合板

外壁や屋根の下地など、屋外や湿度の高い場所で使われる合板が「耐水合板」です。

 

耐水合板には特類から2類まで、使用する接着剤によって3つのランクがあり、使用箇所によって使えるランクが異なります。

 

分類ごとの接着剤と使用可能箇所は、以下の通りです。

 

分類 主な接着剤 用途
特類 フェノール樹脂 常に湿潤状態の環境(屋根や外壁の下地など)
1類 メラミン樹脂 コンクリート型枠合板や、断続的に湿潤状態になる環境
2類 ユリア樹脂 時々湿潤状態となる環境(内装・家具など)

合板の用途

合板の種類は多岐にわたり、それぞれの特性によって用途が異なります。

 

用途に適した合板を選択しない場合、強度の低下や湿気による腐食の原因になるので注意が必要です。

 

建築分野

鉄筋コンクリートの建物や住宅基礎にコンクリートを流すための型枠として使われているのは、コンクリート型枠用合板です。

 

また、建築物の外部や床下などの高い強度や耐水性が必要な場所では、耐水性の高い構造用合板が使われています。

 

その他にも、壁の下地や押入れの内張りといった目に見えない部分では普通合板が使われるなど、建築分野では合板は幅広く使われています。

 

家具製造

家具製造の場面でも、合板は重要な材料です。

 

例えば、タンスなどの箱物家具やドアの面材として、さまざまな合板が使われています。

 

塗装が必要な家具の場合は塗装のしやすいポプラ合板を、また合板自体を仕上げ材として使う場合は化粧合板を使うなど、用途と目的によって使われる合板はさまざまです。

 

装飾用途

合板の種類によっては、装飾の材料として使うことも可能です。

 

例えば、加工のしやすいジェルトン合板は、彫刻の材料として使われています。

 

また白樺から作られた合板は、加工がしやすいだけでなく綺麗な木目を持っているため、工芸品の材料として親しまれています。

 

その他に、掲示板や看板の材料にも合板は使われています。

 

工業用途

工業の分野でも、意外なところで合板が使われています。

 

例えば、作られた製品を保管するためのパレットやトラックの荷台などです。

 

また、製品を保管するためのパレットや楽器の材料など、さまざまな場面で合板は使われています。

 

DIY・日曜大工

ホームセンターなどで手軽に購入できる合板は、テーブルや棚の自作など、DIYや日曜大工でも活躍しています。

 

手軽に購入ができる合板ですが、DIYを目的に購入するときは制作物の使用場所や耐荷重を考慮し、適した性能や厚みの合板を選ぶなどの注意が必要です。

 

関連記事:合板ショック(ベニヤショック)とは?インドネシアやマレーシアの合板が高騰中

 

合板の選び方と購入のポイント

合板を購入するときは、使用目的や使用場所に応じた種類を選ぶ必要があります。

 

合板を選ぶときの5つのポイントをご紹介します。

 

耐水性を確認する

屋外や水場の近くで使うものの材料とする場合、耐水性のある合板を選ぶことが重要です。

 

すでにご紹介したように、合板は使われている接着剤によって耐水性能が異なります。

 

屋外で使う場合は特類を、家具のように時折湿気がある場所で使う場合は2類の合板を選ぶなど、用途だけでなく使用場所に適した合板を選びましょう。

 

表面材の種類と仕上げを見る

合板の表面は、素材によって状態が異なります。

 

例えば、ラワン材の場合は価格が手頃で購入しやすいですが、表面にザラつきがあるのでヤスリをかけるなどの加工が必要です。

 

一方で、シナ材から作られた合板は良い手触りをしていますが、ラワンと比較すると価格が高めになります。

 

また、表面に加工した単板を貼った化粧合板は、そのまま使用することができますが価格はさらに高くなります。

 

予算と加工の手間などを考慮したうえで、適した合板を選ぶようにしてください。

 

適切なサイズと厚さのものを選択する

ホームセンターで一般的に販売されている合板の厚みは、2.3〜30mm程度が多いです。

 

壁紙の下地の場合は2〜5mmのように薄いものを、床材や家具の材料にする場合は重量に耐えられるように12mm以上の厚みを選ぶなど、用途に合わせた厚みの合板を選びましょう。

 

合板選びでは、サイズの選択も大切です。

 

壁や床のように面積の広い場所の場合は910×1,820mm以上のサイズを選ぶことで作業工程を減らすことができます。

 

小物や家具を作る場合は、事前にカットされている合板を選ぶことで、切断などの工程を省くことが可能です。

 

ホルムアルデヒド放散量を確認

合板を貼り合わせる接着剤は、種類によってホルムアルデヒドを含むものがあります。

 

ホルムアルデヒドは、頭痛や倦怠感などの症状を引き起こすシックハウス症候群の原因物質として、改正建築基準法により拡散量の分類が義務化されています。

 

ホルムアルデヒドの拡散量は4段階に分類され、「F☆」〜「F☆☆☆☆」と合板に表記されています。

 

建物を作るときは建築会社が法律に準じた合板を選んでくれますが、個人で合板を購入するときは、使用場所に適したものを選ぶことが必要です。

 

特に、屋内で使用する家具などを作るために合板を購入するときは、ホルムアルデヒドの拡散量の低い「F☆☆☆☆」を選びましょう。

 

反りやすさと加工性をチェックする

合板は、単板を張り合わせて加工されているため、湿気による反りや寸法の変化が少ない木材です。

 

しかし、全く反りが起きないということではありません。

 

反りやすい合板を使って家具を作った場合、反りが原因で変形したり、壊れてしまったりすることがあります。

 

また、合板の種類によって、加工性はさまざまです。コンクリート型枠用合板は耐久性が高く耐水性能もありますが、コンクリートに耐えるため硬く、DIYなどには適していません。

 

用途に応じて、反りやすさや加工性をしっかりチェックしましょう。

 

関連記事:シックハウス症候群は新築でなりやすい!?対策方法と原因について

 

合板のことならフルタニランバーまでご相談ください

木材の加工や卸売りを行っているフルタニランバーでは、各種合板も取り扱っております。

 

「目的に合った合板がわからない」「欲しいサイズの合板が見つからない」、といったご相談にも対応させていただきます。

 

合板を探している方は、石川県金沢市の木材販売会社フルタニランバーまで、お気軽にお問い合わせください。小ロットからも対応させていただきます。

 

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まとめ

繊維の方向が異なるように複数枚の単板を張り合わせた合板は、汎用性が高く、さまざまな場面で使われています。

 

しかし、用途に適した厚みやサイズの合板を選ばないと、建築物や自作した棚などの強度が下がり、危険が生じます。

 

合板を選ぶときは、使用箇所や目的を明確にして、適切なものを選びましょう。