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コラム「森のフルタニさん」

エボニー(黒檀)とは?木材としての特徴と種類について解説

投稿日:2024.07.04/更新日:2024.07.04

深みのある色と木目が特徴のエボニーは、日本では古くから「黒檀」という名称で親しまれてきた歴史があります。

 

かつては世界に広く流通していたエボニー材ですが、昨今では環境保護などの観点から輸出入が厳しく制限されるようになり、希少価値が高まっています。

 

本記事ではエボニー(黒檀)の特徴や種類、気になる価格帯も含めて解説します。

 

エボニー(黒檀)とは

エボニーとはカキノキ科カキノキ属に分類される常緑樹であり、南アジアからアフリカ大陸にかけて広く分布しています。

 

日本では「黒檀(コクタン)」の愛称で古くから親しまれており、ほかにも「黒木」や「唐木」といった名称でよばれることもあります。

 

ちなみに、エボニーあるいは黒檀とはカキノキ科カキノキ属の樹木の総称であり、いくつかの種類が存在します。

 

樹木は品種によっても成長スピードが異なりますが、中でもエボニーは特に成長が遅く、幹の直径が18cm程度まで成長するには200年以上の歳月を要するといわれています。

 

成長が進んだエボニーは樹高が20m以上、幹の太さは1m以上に達することもあります。

 

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エボニー(黒檀)の木材としての特徴

エボニーは古くからさまざまな用途に活用されてきましたが、木材としてはどのような特徴があるのでしょうか。

 

桐の4倍以上の比重

さまざまな植物の中でも成長スピードが遅いエボニーは木材の密度が非常に高く、比重は1.00〜1.09程度となっています。

 

日本で古くから用いられてきた桐の比重は0.2〜0.3程度であるため、エボニーは桐と比べて4倍以上の重さということになります。

 

研磨すると深みのある光沢

エボニーの木肌は黒っぽい茶色が特徴的ですが、やすりなどで研磨すると深みのある光沢が出てきます。

 

また、家具やフローリングなどに使用した場合も年数の経過とともに深みのある風合いに変化していきます。

 

加工が難しい堅さ

密度が高いということは、カットや研磨といった木材の加工にも手間がかかることを意味します。

 

また、エボニーには油脂分も多く含まれているため他の木材に比べると加工は簡単ではありません。

 

年輪が不規則で独特の模様

成長スピードが早い樹木は年輪が一定の間隔で入るものが多いですが、エボニーは成長が遅い分不規則な模様が見られます。

 

また、木目に沿って色が濃い部分と薄い部分が縞模様のように現れるのもエボニーの特徴で、家具などに加工することで独特の深みと美しさが感じられます。

 

腐りにくく虫に強い

カキノキ科のエボニー材は優れた耐久性・耐腐食性を誇る木材としても知られています。

 

密度が非常に高い分、虫食いの被害に遭いにくく内部から腐食もしにくいため、長期間の使用にも耐えることができます。

 

縞黒檀と真黒黒檀の違い

一般的なエボニーは、辺材が赤みを帯びた淡い色をしているのに対し、心材は黒や褐色といった濃い色が見られ、木目に沿って縞模様を形成しています。このようなエボニー材を「縞黒檀」とよびます。

 

しかし、エボニーの樹種や個体によっては縞模様がほとんど見られず、真っ黒な木肌をしたものもあり、これを「真黒(まぐろ)黒檀」とよびます。

 

関連記事:ローズウッド(紫檀)の木材としての魅力や用途について解説!

 

エボニー(黒檀)の種類

エボニーとはカキノキ科カキノキ属の樹木の総称であるとご紹介しましたが、具体的にどのような種類があるのでしょうか。

 

今回は代表的な7つの樹種をご紹介します。

 

インドコクタン

インドコクタンは真黒黒檀や本黒檀ともよばれ、エボニー材の中でも特に希少価値が高い最高級木材です。その名の通りインド原産の樹種で、真っ黒な木肌が特徴です。

 

セイロンエボニー

インドコクタンと並んで高値で取引されることの多いのがスリランカ産のセイロンエボニーです。見た目はインドコクタンと大きな差が見られず、原産地によって名称が異なります。

 

カメルーンエボニー

現在日本国内で流通している真黒黒檀や本黒檀の多くは、アフリカやナイジェリア原産のカメルーンエボニーです。

 

カメルーンエボニーはワシントン条約によって輸出入が厳しく管理されているため、希少価値が高く価格も高価です。

 

アマラコクタン

真黒黒檀のような深みのある黒と、茶褐色の縞模様とのバランスが美しいアマラコクタンは、タイやマレーシア、インドネシアを中心とした東南アジア産のエボニー材です。

 

原産国が広範囲にわたり比較的入手しやすいため、現在では真黒黒檀の代替材料として用いられることもあります。

 

カリマンタンエボニー

カリマンタンエボニーはアマラコクタンよりも縞模様がくっきりとしており、緑がかった色が見られるエボニー材です。

 

インドコクタンやセイロンエボニーなどに比べると黒の色は薄いですが、それでも深みのある風合いが楽しめるため代替材料として用いられることも少なくありません。

 

リュウキュウコクタン

リュウキュウコクタンは数少ない国産のエボニー材であり、沖縄県の一部地域でのみ産出されています。

 

別名「八重山黒檀」ともよばれ、海外産のエボニー材に比べて流通量は限られます。

 

アフリカンブラックウッド

エボニー材と見た目が近い木材としてアフリカンブラックウッドがあります。

 

厳密にはエボニーではなくローズウッド(紫檀)の一種ですが、耐久性に優れ均一的な黒色をしているため、黒檀と同じような用途で使われることが多くあります。

 

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エボニー(黒檀)材の代表的な用途

エボニー材はどのような用途で使われることが多いのでしょうか。代表的な用途をいくつかご紹介します。

 

仏壇・仏具

深みのある黒や褐色の木肌が特徴的なエボニー材は、日本において古くから仏壇の材料として用いられてきました。

 

現在も黒檀で作られた仏壇は最高級品として取引されているほか、鈴台や線香立て、経机といった仏具の材料になることもあります。

 

日用品

黒檀は日用品の材料としても用いられることが多くあります。

 

箸や万年筆、ナイフの柄、印鑑などが代表的であり、黒檀で作られたこれらの製品は一生物として価値が高く、贈り物としても人気があります。

 

楽器

堅く耐久性に優れたエボニー材は、楽器の一部に用いられることもあります。たとえば、ギターの指板やブリッジ、ピアノの黒鍵などが定番です。

 

しかし、エボニー材そのものの希少価値が高くなっていることもあり、現在では代替材料が用いられることも珍しくありません。

 

民芸品・雑貨

エボニーは美しい縞模様や深みのある色合いを活かして、民芸品や雑貨などの材料として用いられることもあります。

 

日用品としてもご紹介した万年筆や印鑑はもちろんのこと、チェスの駒や腕時計、ペンダントやネックレスなどのアクセサリーにも用いられています。

 

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エボニー(黒檀)の平均価格帯

エボニー材は真黒黒檀と縞黒檀によっても価格は異なりますが、いずれも希少価値の高い木材であることに変わりはありません。

 

流通量が多く比較的入手しやすい縞黒檀であっても、30mm×30mm×300mm程度のサイズの角材で1,500円から2,000円が相場となっています。

 

また、板材ともなると、幅150mm×厚さ20mm×長さ900mm程度のサイズで1万円を超えるものも珍しくありません。

 

ローズウッド(紫檀)との違い

エボニーと比較されることの多い木材にローズウッド(紫檀)があります。

 

「アフリカンブラックウッド」でも簡単にご紹介しましたが、耐久性が高く木目の色合いも均一的であるため、黒檀の代替材料として使われることが多いです。

 

ローズウッドはその名の通り、見る角度や光の加減によっては紫がかった木肌が特徴的で、黒檀とは違った深みが感じられます。

 

堅さや比重が大きいのは黒檀ですが、加工のしやすさという面ではローズウッドに軍配が上がるでしょう。

 

また、希少性は圧倒的に黒檀が高いことから、入手のしやすさやコスト面を重視するのであればローズウッドが有利ともいえます。

 

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まとめ

エボニー(黒檀)は海外産の木材がほとんどですが、現在ではワシントン条約などによって輸出入が厳しく制限されているため希少価値が高く、入手のハードルは高いといえるでしょう。

 

エボニー材は研磨することで深みのある光沢が現れ、木目も美しいですが、密度が非常に高いため加工が難しいといった側面もあります。

 

現在ではエボニー材の代わりにローズウッド(紫檀)などが用いられることも多いため、幅広い選択肢の中から用途に合わせて選んでみましょう。