フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
桜の木とは?サクラ材はどんな木材?特徴や値段について解説!
投稿日:2023.11.02/更新日:2023.11.02
桜と聞くと春のお花見をイメージする方も多いと思いますが、実は木材としても利用価値の高い木であることをご存知でしょうか。
一般的にはソメイヨシノが有名な桜ですが、ほかにも日本にはヤマザクラやカバザクラなど、野生の桜が数多く存在します。
本記事では、木材としての桜はどのような価値があるのか、その特徴や用途、気になる価格などもあわせて解説します。
Contents
桜の木とは?
桜は日本国内はもちろんのこと、中国や朝鮮半島、米国、カナダ、ロシアなど、主に北半球の国に自生しています。
日本ではソメイヨシノが有名で、3月から5月頃にかけて南部から桜前線が北上し、全国各地で多くの人が花見を楽しみます。美しい薄ピンクの花は春の風物詩ともいえますが、わずか数週間ほどで散ってしまう儚さもあります。
ソメイヨシノは美しい花を楽しむために交配によって生まれた品種ですが、自然界にはこれ以外にも多くの桜の木が存在します。
たとえば、ヤマザクラやオオヤマザクラ、エドヒガン、カンヒザクラ、カスミザクラなどの野生種が確認されており、日本国内では11種類が自生しています。
一方、桜の木は単に花を楽しむ目的だけでなく、木材としても広く活用されてきた歴史があります。主に木材として使用される桜はヤマザクラやシウリザクラ、ウワミズザクラなどがありますが、いずれも木材として利用できる量は少なく、貴重な材料といえます。
桜(サクラ)材の特徴
桜材は主に家具や美術品、楽器などの原料として活用されてきた歴史があります。
これらの製品に加工するうえでは、木目や色、香り、経年変化などの特徴を把握しておかなければなりません。
桜材にはどういった特徴があるのか、詳しく解説します。
木目・色
桜材を横方向にカットすると、心材は褐色または赤褐色であるのに対し、辺材は淡い黄色または白色をしており、中心部分と外側部分とでは顕著な色の違いが見られます。
そのため、たとえばテーブルやデスクの天板に桜材を使用すると、色の濃い部分と薄い部分の差が大きく、まだら模様に見えてしまうこともあります。
肌触り
桜材の断面は滑らかで心地よい手触りを感じられます。一般的な広葉樹は水分や栄養分を運ぶ道管があり、針葉樹に比べると木の密度が低い傾向がありますが、桜の場合は道管そのものが細いことから良好な肌触りを楽しめます。
香り
桜材はほかの樹種にはない独特の香りを楽しむことができます。桜餅に代表されるような、桜の葉や花を加工した食品は華やかな香りを放ちますが、桜材の断面からも同じ香りを楽しめます。
経年変化
桜材は年数が経過すると徐々に色が変化していきます。特に辺材の淡い部分は褐色に近い色に変わっていきますが、極端に濃い色にはならず落ち着いた雰囲気を楽しめます。
耐久性
上記でも紹介した通り、桜は広葉樹のなかでも道管が細く、密度が高い特性があります。密度が高いということは、水分や汚れなどが染み込みにくいことも意味します。
個性的で美しい木目、良好な肌触りに加えて、耐久性に優れていることも高級家具に多く用いられる理由のひとつといえるでしょう。
桜(サクラ)材の種類
桜にはさまざまな種類があることを紹介しましたが、あらためて代表的な樹種とそれぞれの特徴を解説しましょう。
山桜
山桜(ヤマザクラ)は野生の桜のなかでも代表的な樹種です。
赤みの強い褐色が特徴的で、経年変化によってピンク色の風合いが徐々に強くなっていきます。
桜材のなかでも特に硬く耐久性が高いことから、家具はもちろん楽器などにも多く用いられています。
ソメイヨシノ
ソメイヨシノは日本人にとっておなじみの桜です。
一般的に観賞用として植樹されるケースが多いことから、木材として市販される量は極めて少ない樹種です。
カットした断面は木目がはっきりとしており、わずかに青みがかったラインが入っていることも大きな特徴です。
枝垂れ桜
枝垂れ桜(シダレザクラ)もソメイヨシノに並んで有名な桜であり、観賞用がメインのため木材としての流通量は極めて少ない樹種です。
数ある桜材のなかでも特に密度が高く硬い特徴があり、木目もきめ細やかです。
水目桜
水目桜(ミズメザクラ)は「桜」という名がついているものの、厳密にいえばカバノキ科に属する樹木です。
密度が高く耐久性が良好であり、桜材と共通する特徴をもっています。
朱里桜
朱里桜(シュリザクラ)は日本国内および中国が主な原産国の木材ですが、特に北海道産のものは直線的で美しい木目が特徴的で、上質な木材として取引されています。
椨桜
椨桜(タブザクラ)はクスノキ科の樹種であり、厳密に言えば桜とは異なる木材です。
密度が高く乾燥に手間がかかるという短所がありますが、木目ははっきりとしていて美しい杢が入ることが多い特徴があります。
神代桜
神代桜とは、腐敗することなく地中に埋まった桜の木のことを指します。
非常に貴重な木材で市販品として流通するケースは稀であり、取引価格も高額です。
桜(サクラ)材が床材に人気な理由
桜材はフローリング材としても人気が高く、ヤマザクラやカバザクラ、アメリカンブラックチェリーなどさまざまな木材が流通しています。
上記でも紹介した通り、桜材の多くは密度が高く耐久性に優れているため、フローリング材として長持ちするという実用的な理由があります。
また、デザインの面から見ても、心材と辺材で異なる表情を見せてくれるため、これらを組み合わせることで個性的でデザイン性の高いフローリングに仕上げることもできます。
さらに、桜材は硬い材質であるにもかかわらず比較的加工がしやすく、表面に細かな意匠を施しやすいのも人気の理由として挙げられるでしょう。
桜(サクラ)材とチェリー材の違い
輸入木材のなかには「ブラックチェリー材」や「アメリカンチェリー材」などがあり、これらは総称してチェリー材とよばれます。
桜=Cherryblossomであることから、チェリー材と桜材は同じようなものと認識しがちですが、厳密にいえば両者には違いがあります。
一般的に、チェリー材は桜材に比べて色が濃く、赤みが強い特徴があります。これに対し桜材は全体的に淡い色をしており、心材と辺材とで異なる表情を見せてくれます。
ただし、桜材のなかでもカバザクラとヤマザクラでは風合いが異なり、ヤマザクラはチェリー材よりもわずかに明るい色が見られます。
桜(サクラ)材の主な用途
桜材は主にどのような用途で使用されるのか、その理由とともに解説しましょう。
家具
桜材の代表的な用途として挙げられるのが家具です。
密度が高く耐久性にも優れていることから、特に高級家具の材料として愛されてきた歴史があります。
また、心材と辺材の色の違いを活かすことで、個性的でデザイン性の高い家具が完成します。
床材(フローリング)
上記でも紹介した通り、耐久性が求められる床材の材料としても桜材は人気があります。
密度が高く硬い一方で加工がしやすいという特性があるため、無垢材に仕上げる際の手間も少なくて済みます。
楽器
桜材はギターをはじめとした弦楽器のボディや指板などにも用いられることがあります。
密度が高く耐久性があり、樹種によっては美しい杢が入るものもあるため、ギターのボディに採用することで美しい見た目に仕上がります。
桜(サクラ)材の平均価格帯
桜材にはさまざまな種類があり、樹種によっても価格帯は異なります。
たとえば、国産材として多く流通しているカバザクラ材の場合、比較的安価な集成材(厚さ20mm、巾500mm、長さ1500mm程度)でも2万円以上で取引されています。
また、フローリング材として用いられることの多いチェリー材は、10平米(約5.5畳)分で12万円以上の値がつくこともあります。
フルタ二ランバーでの桜(サクラ)材の取り扱い
桜材は国内での流通量が少なく、貴重な木材のひとつです。そのため、たとえば家具製作や楽器製作、フローリング材として桜材を探しているものの、取り扱っているお店が見つからず苦労している方も多いのではないでしょうか。
また、仮に見つかったとしても、希望のサイズの在庫がなかったというケースも考えられます。そのような場合には、ぜひ一度フルタニランバーまでご相談ください。
ヤマザクラ材およびカバザクラ材のほか、アメリカンブラックチェリー材も幅広く取り扱っており、用途に応じてさまざまな加工にも対応できます。
また、桜材以外の選択肢も含めて用途にマッチした木材を相談しながら選びたいという場合においても、最適なご提案をさせていただきます。
まとめ
私たち日本人にとってなじみの深い桜は、美しい花を鑑賞するためだけでなく、家具や楽器、内装材としての用途もあり、古くから活用されてきました。
現在、国産のカバザクラ材やヤマザクラ材は流通量が少なく希少な木材となっており、探してもなかなか上質な木材が見つからないケースも多いです。
そのような場合には、ぜひ一度フルタニランバーまでご相談ください。用途に応じて加工や最適な木材のご提案もさせていただきます。