フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
シナ材とは?用途や使用される家具について紹介
投稿日:2022.05.01/更新日:2022.06.05
美しい木目と色合いが特徴のシナ材は、住宅の内装材や家具、さまざまな彫刻品などに使用されることの多い木材です。
しかし、木材に詳しくない方にとってはシナ材と聞いてもイメージしにくく、どのような特徴があるのか分かりづらいものです。
そこで今回は、シナ材にはどのような特徴があるのか解説するとともに、おもな用途やシナ材を使ってつくられる家具などもあわせて紹介します。
Contents
シナ材とは?特徴も解説
シナ材の原材料は、日本全国に分布する「シナ」という樹木です。
シナはシナノキ科シナノキ属の落葉広葉樹で、地域によっては「マダ」や「ヘラ」、「アサジ」、「タク」などとよばれることもあります。北海道から九州まで広く分布していることから、さまざまな呼び名で親しまれてきました。
日本におけるシナの主な産地は北海道で、海外では朝鮮半島や中国の一部にも自生しています。
大きなシナは高さ20メートルに達することもあります。
シナ材の色調は、心材が淡黄褐色、辺材が淡黄白色という違いがありますが、心材と辺材の差は明確ではありません。
また、木目は直線に近く、年輪は比較的薄く不明瞭な特徴もあります。
シナ材は乾燥が容易で加工もしやすく安価ではあるものの、強度はあまり高くありません。湿気に弱く保存性も低いことから、建材以外の用途に使用されることが多いです。
また、シナ材に含まれる糖の影響で接着剤の接触不良を起こす場合があるため、施工する際には注意が必要です。
シナ材のおもな用途
シナ材は十分な強度を確保することが難しいため、柱や梁、屋根といった建材には不向きです。
しかし一方で、軽量で加工がしやすく木目も鮮やかであることから、合板や家具の材料、内装材として使用されることが多いです。
身近な用途としては、押入れの内貼りが代表的な例といえるでしょう。
また、端材を利用してアイスクリームの棒やマッチの軸木、鉛筆、彫刻材などに加工されることもあります。
さらに、シナ材を加工したベニヤ板である「シナベニヤ」は美しい木目で人気があり、ホームセンターや建材の専門店などでは高値で販売されています。
シナ材のメリット
さまざまな用途に活用されているシナ材ですが、ここまで紹介してきた特徴をもとにメリットとデメリットを整理してみましょう。
まずはシナ材のメリットとして挙げられるのは以下の3点です。
シナ材のメリット1|安価で入手しやすい
シナ材の原材料となるシナは北海道から九州まで幅広く分布していることから、国産木材として入手しやすい特徴があります。
また、木材そのものも柔らかく、乾燥も容易であることから加工の手間がかからず、価格は比較的安価に抑えられています。
上記でも紹介したとおり、シナ材は十分な強度が確保できないことから柱や梁などには適しませんが、壁などの内装材に用いることは可能です。きれいで鮮やかな色のため、壁の仕上材としてシナ材を用いることでコストを抑えられるでしょう。
シナ材のメリット2|加工しやすい
木材が柔らかいということは、切断や切削、彫刻といった作業がしやすく、簡単に加工できることも意味します。
アイスクリームの棒やマッチの軸木などに端材が活用されることが多いのも、コストをかけることなく簡単に加工できるのが要因ともいえるでしょう。
シナ材のメリット3|軽量で扱いやすい
ほかの木材と比較して軽量で扱いやすいのもシナ材のメリットです。
シナ材は合板として使用されることも多いですが、軽量であることから施工作業がしやすく、スピーディーかつきれいに仕上げられるでしょう。
シナ材のデメリット
上記で紹介したメリットとは反対に、シナ材のデメリットとして挙げられるポイントを2点紹介します。
シナ材のデメリット1|耐久性は高くない
シナ材は加工がしやすい一方で、決して強度が高い木材ではないため、柱や梁に不向きであると紹介しました。
そのため、合板として加工し内装材に用いられるケースが多いですが、経年劣化によって表面が剥がれやすくなることがあります。
また、紫外線による影響を受けやすく、変色することが多いのもデメリットのひとつです。
年数の経過とともに色が変わっていくさまを一つの味ととらえられる方は良いですが、神経質な方にとっては気になってしまうこともあるでしょう。
シナ材のデメリット2|湿気に弱い
シナ材は湿気を吸収しやすく、施工に不備があるとカビが発生しやすくなります。
たとえば、コストを抑えるために室内の壁材としてシナ材を使用することも多いですが、防湿シートが施工されていないと完成後数ヶ月でカビが繁殖してしまうことも。
軽量で柔らかく加工がしやすいのがシナ材のメリットですが、十分な湿気対策をしなければ短期間で劣化を招く可能性もあるのです。
シナ材でつくられる家具
シナ材は内装材だけでなく、家具にも使用されることの多い木材です。
しかし、ここまで紹介してきたとおり、木材としての強度は決して高くないため、過度な荷重がかかる心配のない場所や用途に使用される傾向にあります。
たとえば、鏡台のフレームや引き出しの底板、インテリア用の小物類などが代表的です。
また、大きいサイズの無垢材があれば、1枚板をダイニングテーブルの天板として活用することもあります。
シナ材がもつ独特の優しい風合いや木目は、癖がなく自然であるため幅広いインテリアにマッチします。
また、ほかの木材と比較してもシナ材の1枚板は安価で、無垢材のダイニングテーブルを手頃な価格で仕上げたい場合にはおすすめの選択肢といえるでしょう。
シナ材の価格相場と傾向
シナ材は合板として使用されることが多いため、一般的にはシナ合板として取引されています。
ベニヤ板としての品質が高く見た目も美しいシナベニヤは、厚みやサイズによっても価格は異なるものの数百円から1,000円台で販売されるケースが多いです。
また、用途によっては端材や無垢材として販売されることもあります。
無垢材の場合、厚み25mm、600mm×1800mmのサイズで2万円以上が相場となっており、タモ材やナラ材などと比べると安価に入手できるのが特徴です。
ウッドショックによるシナ材への影響
木材の取引価格に関して、避けて通れない話題がウッドショックの影響です。
2020年以降、新型コロナウイルスの影響により木材価格が世界的に高騰している現象をウッドショックとよびますが、ピークであった2021年が過ぎてからは比較的落ち着きを取り戻しつつあります。
新型コロナウイルスが世界的に蔓延する以前と比較した場合、まだまだ木材価格は高騰しており、シナ材も高値で推移している状態です。
しかし、輸入がメインのタモ材やオーク材などに比べると手に入れやすい部類といえるでしょう。
ロシア産木材の供給不足によるシナ材への影響は?
新型コロナウイルスの影響で発生したウッドショックに加えて、2022年からはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を発端とした”第二次ウッドショック”の影響が出はじめました。
ロシアから日本への丸太輸出は2022年1月からすでに停止されていますが、現在おもに影響が出ているのは合板です。
特にロシア産の白樺合板やシナ合板は高い品質で知られており、住宅用にも多く用いられてきました。
しかし、これらの輸出までもストップしたことで、国内の合板価格が高騰しつつあります。国産のシナ材だけでは供給量にも限界があるため、ロシア産木材の高騰に引きづられるように今後国産のシナ材も高騰していく可能性が考えられます。
そのため、今後の価格推移を予測したとき、ロシア産に限らず国産の合板についてもできるだけ在庫を確保しておいたほうが良いでしょう。