フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
スプルース材とは?主な用途と産地別の種類について解説
投稿日:2024.08.02/更新日:2024.08.02
建具や家具、楽器などに使用される木材はさまざまなものがありますが、中でも定番で人気が高いのが「スプルース材」です。
本記事では、スプルース材の特徴や種類、ほかの木材と比較した場合のメリットやデメリットなどもあわせて詳しくご紹介します。
Contents
スプルース材とは?
スプルース材とは、マツ科トウヒ属の針葉樹である米唐檜(ベイトウヒ)を原材料とした木材であり、「スプルス材」や「SPF材」とよばれることもあります。
米唐檜は日本国内で用いられる和名であり、ほかにもホワイトウッドやアラスカヒノキといった名称で販売されているケースもあります。
ちなみに、檜(ヒノキ)という文字が入っていますが、これはスプルース材の木目や木肌が檜に似ていることから名付けられたものであり、学術的にはマツ科に属しており檜の仲間ではありません。
スプルース材はホームセンターなどでも広く流通している木材のひとつであり、比較的手頃な価格で入手できます。
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スプルース材の主な用途
スプルース材はどのような用途に活用されることが多いのでしょうか。代表的な用途を4つご紹介します。
内装材
スプルース材の代表的な用途のひとつとして、床材や天井板、壁材といった内装材が挙げられます。
美しい木目や木肌は自然の温もりが感じられ、高級感のある見た目に仕上がることから内装材や造作材としてのニーズは高いです。
一方、耐久性や強度が高い木材ではないため、建物の土台や柱といった構造材には不向きな材料といえます。
建具材
内装材と同様の理由で、建具材としてのニーズも高い傾向にあります。
建具とは部屋を仕切るための戸や襖、ドアなどのことで、これらを取り付ける枠や本体などにスプルース材は多く用いられています。
楽器
スプルース材は楽器の材料としても多く用いられており、特に高いニーズを誇るのがアコースティックギターです。
アコースティックギターは空洞のボディに音を反響させるという構造上、木材の品質が音の良し悪しを大きく左右します。
スプルース材は適度なしなやかさで音の輪郭がはっきりと現れ、鳴りも良いのが特徴です。
また、木目も美しいことから、アコースティックギターの顔ともいえるボディトップにふさわしい材料なのです。
家具
安価で流通量も多いスプルース材は、家具の材料として用いられることもあります。
美しい木目と癖のない木肌はインテリアにも馴染み、ダイニングテーブルやデスク、キャビネット、食器棚などに最適です。
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スプルース材のメリット
スプルース材はほかの木材と比較した場合、どのようなメリットや強みがあるのでしょうか。
美しい見た目
スプルース材は鮮やかな淡い色合いときめ細かい木目が特徴的です。
内装材や家具に使用することで自然の温もりと上品さを演出でき、上質な空間に仕上がります。
また、スプルース材は塗装や仕上げがしやすく、多様なデザインに合わせて色合いや質感を調整できることも大きなメリットといえるでしょう。
加工のしやすさ
スプルース材は木材の繊維が直線的かつ均一で、加工がしやすい特性もあります。
細かな意匠が施される家具や楽器なども製作しやすく、さまざまな用途に適しています。
また、スプルース材は軽量のため作業中も取り扱いやすく、木材の加工作業に慣れていないDIY初心者にもおすすめの材料といえるでしょう。
耐水性
スプルースはマツ科の植物であるため松ヤニが含まれており、耐水性に優れ湿気や水分に強い特性があります。
キッチンや洗面所などの湿度の高い環境においても使いやすく比較的長持ちします。
流通量は多いが良材の入手が困難になった。
木材の中には希少性が高く入手が困難なものも少なくありません。
スプルース材は比較的、流通量は多いですが近年オールドグロース(原生林)の伐採規制に伴い良材の入手が困難になりました。
スプルース材のデメリット
上記とは反対に、スプルース材のデメリットとして考えられるポイントもご紹介しましょう。
強度の低さ
スプルース材は木材としての強度は決して高いとはいえず、特に建築現場においては使用できる用途が限られています。
上記でもご紹介した通り、壁や床、天井などの造作材としては問題なく使用できますが、柱や土台、梁といった構造材には不向きな材料といえるでしょう。
耐朽性の低さ
スプルース材は耐朽性が低く腐食に弱いというデメリットもあります。
湿気が多く雑菌が繁殖しやすい場所では木材の内部から腐食が進んでいき、短期間でボロボロになるケースも少なくありません。
建物の土台に不向きなのは強度が低いこともありますが、耐朽性の低さも大きな要因として挙げられます。
虫害のリスク
菌の繁殖によって腐食しやすいことと同様に、シロアリなどによる虫食いのリスクも高い傾向にあります。
内装材や家具にスプルース材を使用する場合でも、適切な手入れやメンテナンス、清掃を行っていないと虫害に遭う可能性が高くなります。
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スプルース材の種類
一口にスプルース材といっても産地によってさまざまな種類が存在し、木材としての特性も異なります。代表的なスプルース材の種類をいくつかご紹介しましょう。
シトカ・スプルース
シトカ・スプルースは、北米に位置するアラスカ州からカリフォルニア州、およびカナダのブリティックコロンビア州産のスプルース材です。
スプルース材の中でも特に淡い色が特徴的で、きめ細かい美しい木目が楽しめることから、内装材や楽器などに多く用いられています。
エンゲルマン・スプルース
エンゲルマン・スプルースもシトカ・スプルースと同様に北米産のスプルース材です。
非常に柔らかい木材のため傷がつきやすく、繊細な加工が求められる家具や雑貨などに重宝されています。
また、エンゲルマン・スプルースは強い香りが感じられ、抽出したオイルはさまざまな香料としても用いられることがあります。
ジャーマン・スプルース
ジャーマン・スプルースはその名の通りドイツを中心としたヨーロッパ産のスプルース材です。
スプルース材の中でも比較的硬く、強度があります。バイオリンやギターといったビンテージ楽器に使用されていることが多く、独特の美しい木目が見られる個体は高額で取引されることも珍しくありません。
エゾマツ
エゾマツは北海道やロシア東部に自生するスプルースです。
針葉樹の特徴ともいえる直線的な木目をしており、シトカ・スプルースよりもやや黄色みがかった色合いが見られます。
雲杉・冷杉
雲杉・冷杉は杉という名前がつきますがチベットに自生するスプルースです。英語ではチャイニーズスプルースとよばれます。
針葉樹の特徴ともいえる直線的な木目をしており、雲杉は特有のゴマ模様が特徴です。
近年、伐採規制による丸太の出材は減少し、計画区画の伐採以外で板を見かけることは少なくなりました。
一時期はフルタニランバーの主力として検品作業のため、毎月のように製材を行う中国の成都へ出張へいっていました。
スプルース材の価格相場
スプルース材はほかの木材に比べて安価ではありますが、具体的な価格相場が気になる方も多いでしょう。
木材としての品質やグレード、サイズ、あるいは購入する店舗などによっても価格は異なりますが、たとえば長さ4000mm、巾200mm、厚さ24mmの平板が6枚セットで9万円から11万円程度で販売されています。
スプルース材の購入はフルタニランバーへ
スプルース材は流通量が多く購入しやすいメリットがありますが、その反面木材の品質もまちまちで、節が多かったり一部に傷や欠けが見られる品質の低いものも少なくありません。
このような低品質な木材を使用すると、見た目が損なわれるなど仕上がりに大きな影響を及ぼしてしまいます。
高品質なスプルース材を入手するためには、木材を専門に扱う販売店や業者へ相談することがおすすめです。
石川県金沢市にある木材販売会社フルタニランバーでは、北米や中国から輸入し直接の検品を行った高品質のスプルース材を取り揃えています。
丸太から平板や角材に加工した後、1本ずつ検品も行ったものを販売しているため安心してご利用いただけます。
フルタニランバーのスプルース材は、引き戸や襖といった建具材はもちろんのこと、家具や楽器など幅広い用途でご利用いただいています。
まとめ
美しい木目と鮮やかな木肌が魅力のスプルース材は、加工性の良さもあり建具や家具、楽器など幅広い用途に利用されています。
流通量も多くホームセンターなどでも手軽に購入できますが、用途によっては希望のサイズが見つからなかったり、品質に不安を感じることもあるでしょう。
そのような場合には、フルタニランバーまでぜひお気軽にお問い合わせください。用途や目的に応じて加工に対応できるほか、スプルース材以外の木材も比較しながらご検討いただけます。
gd2md-html: xyzzy Fri Aug 02 2024