フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
桐の木材としての性能は?特徴や使い方を徹底解説
投稿日:2024.02.15/更新日:2024.02.23
桐(きり)は日本において古くから家具や楽器などの原料として用いられてきた歴史があり、私たち日本人にとっては特別な木材のひとつです。
桐=高級というイメージがありますが、それ以上のことはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、桐にはどういった特徴があるのか、ほかの木材と比較した場合の強みや弱点なども含めて詳しく解説します。
Contents
桐の木とは
桐(きり)はゴマノハグサ科キリ属の落葉広葉樹で、北海道南部から本州にかけて分布しています。
6月から7月頃になると淡い紫色の花を咲かせ、成長すると高さ15メートルほどに達することもあります。
日本では特に東北地方や関東地方へ多く植栽されてきた歴史があり、青森県および岩手県で伐採された桐は「南部桐」、福島県の桐は「会津桐」ともよばれます。
桐という名前は、伐採してもすぐに枝が伸びていくことから”切る”、”切り”が由来といわれており、極めて成長が早い特徴があります。
ただし、寒冷地で育つ桐は温暖な地域で育つ桐よりも成長スピードが遅く、その分密度が高い上質な木材となることから東北地方の桐は高値で取引されるのです。
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桐の木材としての特徴
桐と聞くと「桐タンス」をイメージする方も多いように、日本において桐は古くから家具の材料として重宝されてきた歴史があります。
なぜこれほどまでに桐は重宝されるのか、ほかの木材にはない桐ならではの特徴をいくつか解説しましょう。
吸湿性・保湿性が高い
桐材の内部には蜂の巣のような細かな空洞が無数に存在し、この内部にわずかな水分を吸収することができます。
また、反対に空気が乾燥している環境下では、内部に含んだ水分を放出します。
数ある木材のなかでも桐材の吸湿性は優れており、湿度を一定に保つ働きをしてくれるのです。
防カビ効果が高い
桐材には「タンニン」や「パウロニン」、「セサミン」とよばれる成分が含まれており、これらは優れた抗菌・防腐効果を発揮します。
また、上記でも紹介した通り湿度を一定に保つ働きがあるため、抗菌・防腐効果と調湿効果によってカビの繁殖を抑えることができるのです。
防虫効果が高い
桐材に含まれるタンニンには優れた防虫効果もあります。
特に桐にはタンニンの含有量が多く、家具に使用することで虫の侵入を防いでくれる効果があるのです。
断熱性が高い
桐材の内部には無数の空洞があると紹介しましたが、これは見方を変えると多くの空気を含んでいるということです。
空気の層が厚いほど熱を通しにくく、優れた断熱効果を発揮します。
また、桐は燃えにくい木材のひとつであり、表面が焼け焦げたとしても内部まで火が回りにくい特性があります。
大切な着物や、貴重品を収納する家具や金庫などに桐材が重宝されるのは、このような理由があるためです。
柔らかく軽い
桐材は内部に空洞が多いため、密度が低い木材でもあります。
同じ大きさの他の木材と比較しても重量は極めて軽く、非常に柔らかい特徴をもっています。
フローリング材など、傷がつきやすいモノの製作には向いていませんが、家具や楽器など繊細な加工が求められる用途に多く用いられてきました。
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桐の木材にデメリットはある?
さまざまなメリットがある桐材ですが、これらとは反対にデメリットとして考えられることは何なのでしょうか。
傷つきやすい
桐材は非常に柔らかく繊細な木材であるため、傷がつきやすいという弱点があります。
特にフローリング材に使用した場合、断熱性が高く温かい感触を得られる一方で、モノを落としたときに大きな凹みができたり、引っ越しや模様替えの際に床に傷がつくこともあります。
そのため、桐材は傷がつかないよう慎重に扱うことが大切です。
変色しやすい
桐材に含まれるタンニンは、年数が経過すると黒く変色しやすいという特徴があります。
これは木材の内部に含まれていたタンニンが、時間の経過とともに表面に浮き上がってきて、酸化することで生じる化学反応です。
経年変化を楽しむことができればベストですが、鮮やかな木材の色に惹かれて桐材の家具を選んだ方にとっては、残念に感じてしまうかもしれません。
水に弱い
桐材は内部がスポンジのような組織になっているため、水を吸収しやすい特性があります。
わずかな湿度の変化であれば吸湿性を発揮しますが、水に濡れてしまうと大量の水分を吸収し、木材そのものが膨張・変形する可能性があります。
また、あまりにも大量の水分を吸収してしまうと防カビ効果が失われ、内部でカビが繁殖することもあるでしょう。
屋外で使用される屋根材や、水滴が付着することの多いダイニングテーブルの天板などには、不向きな素材といえます。
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桐の木材の主な用途
桐は日本において高級木材として重宝されてきました。
一般的に「和」を感じられる木材工作に使われることが多いですが、特に代表的な用途をご紹介しましょう。
家具
桐のもっとも多い用途として挙げられるのが、高級家具の原材料です。
「桐タンス」はその代表格であり、桐材がもつ吸湿性・防カビ・防虫といった特性が最大限に活かされています。
また、タンス以外にも吸湿性を活かし、高級ベッドの”すのこ”部分に桐材が使用されることもあります。
楽器
日本の伝統的な楽器である「琴(こと)」あるいは「箏(そう)」は、桐材を加工して作られます。
特に密度の高い寒冷地で育った桐材が使用されることが多く、また一本の木から切り出して加工するため、一本一本に音の個性が現れます。
また、昨今では桐材の軽量さを活かし、ギターのボディに使われるケースもあるようです。
箱
家具や楽器以外にも、桐材は高級感を演出するための包装箱に使用されることがあります。
たとえば、ワインやウイスキー、アクセサリー類、高級食材などを贈る際、桐の箱に包むだけで高い格調が感じられるものです。
また、万が一火事があったとしても、内部まで火が回るのを防いでくれるため、金庫の内箱材や貴重品入れ、小物入れなどにも重宝されます。
木炭
桐を原料に作られた木炭は着火性が良好で、火力も強すぎないことから使い勝手に優れています。
また、その着火性の高さを活かし、粉状に加工したものを火薬に混ぜて使用することもあります。
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桐の木材の価格は?
桐は日本国内で植林が進み、家具をはじめとしてさまざまな用途に活用されてきました。
しかし、昨今では林業における人手不足や森林管理の手間などもあり、コストの高い国産材ではなく、輸入品が選択されるケースも増えています。
たとえば、家具量販店などで販売されている10万円程度の安価な桐タンスは、そのほとんどが海外から輸入した桐材を原料としています。
仮に国産の桐材を使用して同じ桐タンスを製作するとなると、数十万円以上のコストがかかってしまいます。
このように、一口に桐材といっても国産材と輸入木材では価格が大きく異なるのです。
フルタニランバーでの桐材の扱い
高級木材である桐材はコストが高く、材料として選択するにはハードルが高く感じられるものです。
また、そもそも桐材を取り扱っているお店も少なく、どこで購入できるのか分からないという方も多いでしょう。
そのような場合には、ぜひ一度フルタニランバーへご相談ください。
当社では中国産の桐を加工した桐の巾剥ぎ材(SLB)などを取り扱っており、無垢材に比べて安価なコストを実現しています。
また、桐材の弱点である変色を抑えるために漂白処理も施しているため、年数が経過しても桐本来の美しい色合いをお楽しみいただけます。
【主なサイズ】
幅 | 910mm |
長さ | 1820mm、2440mm |
厚さ | 9mm、12mm、15mm、25mm |
上記のサイズから選択でき、用途に応じた加工にも対応させていただきます。
まとめ
高級木材の代表格である桐は、日本において古くから特別な木として重宝されてきました。
桐タンスはもちろん、琴をはじめとした日本の伝統楽器にも用いられ、現在ではギターやベッドフレームなど用途は拡大しています。
柔らかく軽量であるため加工がしやすい木材ですが、その一方で傷や水分に弱く年数の経過とともに変色がしやすいという弱点もあります。
桐材を使用する際には、このような特性を見極めたうえで慎重に判断することが大切です。
高品質の桐材をお探しの方は、ぜひ一度フルタニランバーまでお問い合わせください。