フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
アッシュ材とはどんな木材?経年変化や使用される家具、メリット・デメリットを解説
投稿日:2022.12.05/更新日:2023.07.27
さまざまな用途に幅広く活用される木材としてアッシュ材があります。
一般的にアッシュ材といえばホワイトアッシュを指す場合が多く、価格も手頃なため人気のある木材の一つです。
本記事では、アッシュ材の特徴や主な用途、メリット・デメリットを比較しながら解説していきます。
Contents
アッシュ材の木材としての特徴
そもそもアッシュ材とはどういった木材なのでしょうか。
木材の基本的な特徴をいくつか解説します。
①アッシュ材の植林から伐採の時期
アッシュ材の原料となるのはトネリコとよばれる樹木で、特にヨーロッパ原産のセイヨウトネリコはヨーロピアンアッシュ、アメリカ原産のアメリカトネリコはホワイトアッシュとよばれます。
トネリコは落葉広葉樹の一種で、成長が比較的早く植林から十数年程度で伐採され、木材として使用されることが多いです。
②アッシュ材の木目の特徴
アッシュ材の木目はくっきりと現れることが多く、真っ直ぐに伸びる木目もあれば、一部が目のように丸く個性的な表情をあらわすこともあります。
そのため、木目の表情に応じてさまざまな用途に使われることも多いのがアッシュ材の特徴といえるでしょう。
③アッシュ材の強度・耐久年数
アッシュ材は数ある木材のなかでも固さと適度な弾力性を兼ね備えていることから、抜群の強度を誇ります。
家具に使用しても数十年、あるいはそれ以上の耐久年数を誇る場合も多く、古くからアンティーク家具などにも使用されてきた歴史があります。
耐久性・耐衝撃性に優れた特性を活かし、テーブルの天板などにも使用される木材のひとつです。
④アッシュ材の経年変化
木材のなかには、使い続けていくうちに木目が薄くなってきたり、表面の色そのものが色あせたり濃くなったりするものも少なくありません。
しかし、アッシュ材は数ある木材のなかでも経年変化が少なく、長く使い続けていてもわずかに黄色く変色する程度で、新品のときに近い表情を維持できます。
ホワイトアッシュ以外のアッシュ材の種類
一口にアッシュ材といっても、原産国によってさまざまな呼び名があり種類も異なります。
たとえば、アメリカだけでも上記で紹介したホワイトアッシュのほか、スワンプアッシュやブラックアッシュなどが存在します。
また、ヨーロッパ原産のヨーロピアンアッシュも多く流通しているほか、ロシア産のタモもアッシュ材のひとつに数えられます。
しかし、ロシア産の木材は2021年から丸太の輸入が禁止になったことと、ウクライナ情勢の激化によって流通量が大幅に減少している実情があります。
また、国産材のタモもアッシュ材のひとつに分類されることも多く、おもに北海道産の木材が流通しています。
アッシュ材の主な使用用途
耐久性が高く経年劣化もほとんど見られないアッシュ材は、古くからさまざまな用途に利用されてきました。
たとえば、ダイニングテーブルの天板や椅子のフレームといった家具のほか、美しい木目を生かしてフローリング材に使用されることもあります。
さらに、しなやかさと固さを生かして野球のバットやテニスのラケットの材料として使用されたり、バイオリンやギターといった楽器に使用されることも珍しくありません。
このように、アッシュ材は家具や建築資材、スポーツ、音楽など、さまざまな分野において欠かせない木材なのです。
アッシュ材を使用するメリット・デメリット
さまざまな用途に活用されるアッシュ材ですが、木材としてのメリットもあればデメリットも存在します。
メリット
上記でも紹介した通り、アッシュ材の主なメリットとしては、木目の美しさと耐久性の高さが挙げられます。
日常的に使用する家具や、傷みやすいフローリングなどに使用しても美しい木目が維持でき、最低限のメンテナンスさえ行っていれば長年にわたって使い続けることができます。
デメリット
アッシュ材は多様な木材のなかでも固く、加工がしづらい点がデメリットとして挙げられます。
そのため、彫刻のような細かな意匠を施す家具などの加工には不向きで、シンプルなデザインに仕上がる傾向が見られます。
アッシュ材を使用した家具
アッシュ材の定番用途として挙げられるのが家具です。
どういった家具に加工されることが多いのか、特に代表的なものをいくつか紹介しましょう。
①ダイニングテーブル
家族が集まるダイニングテーブルの天板にアッシュ材が用いられることが多くあります。
予算に応じて天板のみに使用されることもあれば、脚を含めた全体をアッシュ材で構成する場合もあります。
②椅子・ダイニングチェア
ダイニングテーブルのデザインと統一するために、椅子やダイニングチェアにもアッシュ材が用いられることがあります。
木の温もりを感じやすく、部屋全体が自然の雰囲気に包まれ上質な空間を演出できるでしょう。
③テレビボード
テレビやレコーダーなどを設置するテレビボードも定番の家具のひとつです。
特に最近のテレビは大型化が進んでいることから、テレビボードも部屋のなかで存在感を放ちやすいものです。
テレビを観ていて自然と目に入ってくることも多いため、上質なアッシュ材を用いることで満足度を高められるでしょう。
④チェスト・タンス
衣類や小物類を収納しておくチェストやタンスにもアッシュ材が用いられることがあります。
特に大きいサイズのチェストやタンスの場合、美しい木目と風合いを活かしたアッシュ材が最適です。
アッシュ材とタモ材・オーク材との違い
アッシュ材と見た目が似ており、比較されやすい木材にタモ材とオーク材があります。
それぞれどういった違いが見られるのか、詳しく解説しましょう。
アッシュ材とタモ材の違い
本記事内で「国産材のタモもアッシュ材のひとつに分類されることが多い」と紹介しましたが、ヨーロッパやアメリカ産のものをアッシュ材、アジア産のものをタモ材と分類することもあります。
両者を比較してみると、タモ材のほうが木目の幅が狭く詰まった印象を受け、アッシュ材のほうは木目の幅が広い傾向にあります。
また、木材の色もタモ材のほうが濃く、アッシュ材は白みを帯びているという違いも見られます。
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アッシュ材とオーク材の違い
外国産の木材のなかでも特にアッシュ材と似た特徴をもつのがオーク材です。
どちらも白みを帯びた色をしていますが、アッシュ材のほうが木目がはっきりしているのに対し、オーク材は木目の模様が曖昧で、ぼんやりとした特徴が見られます。
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アッシュ材の平均価格帯
アッシュ材は輸入木材のなかでも比較的手頃な価格帯です。
ですが今後入手困難が予想されるため、相場はあがっていくと思われます。
エメラルドアッシュボーラーによるアッシュ材の被害
アッシュ材は比較的手頃な価格で入手できる木材ですが、その一方で害虫による被害で生産量が減少傾向にあります。
特に、アメリカ全土ではエメラルドアッシュボーラーとよばれる昆虫が異常繁殖し、この虫はアッシュ材を餌にしていることから被害が深刻化しています。
エメラルドアッシュボーラーに食い荒らされたホワイトアッシュのなかには、立ち枯れをする大木も珍しくないといいます。
この被害がさらに拡大していくと、アッシュ材の安定供給にも影響がおよぶ可能性があることから、大手ギターメーカーのフェンダー社ではアッシュ材を新規モデルに採用することを中止しています。
フルタ二ランバーでのアッシュ材の取り扱い
耐久性に優れ、木目も美しいアッシュ材は、さまざまな用途で高い需要を誇る木材です。
しかし、上記でも紹介した通り、海外では害虫による被害が拡大しており、今後ホワイトアッシュを含めたアッシュ材の安定供給が難しくなると価格が高騰する可能性もあるでしょう。
フルタニランバーではアッシュ材を含めたさまざまな木材を取り扱っており、丸太や天板、合板など、用途に合わせてさまざまなタイプの商品をストックしています。
海外から直輸入で仕入れ、大量在庫を確保しているため、アッシュ材の取り寄せにお困りでしたらまずは一度ご相談ください。
まとめ
家具や建材、楽器にいたるまで、さまざまな用途に活用されることの多いアッシュ材。使い勝手が良い割に価格は手頃なため、特にニーズの高い木材です。
オーダーメイドの家具や住宅の建設、リフォームなどを手掛ける際には、アッシュ材のメリット・デメリットを比較したうえで、用途にマッチしたものを選ぶようにしましょう。