フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
有機JAS認証は木材にも適用される?取得の流れや費用を解説
投稿日:2024.01.22/更新日:2024.01.24
建築資材に不可欠な木材は、管理や加工の仕方次第で品質が大きく変わってきます。
そこで、一定の品質やサービスマネジメントに適合している木材を見極めるために役立つのが「JAS認証」という制度です。
木材を取り扱う事業者にとっては他社との差別化やブランディングにつながりますが、JAS認証の取得はどのような手順を踏めば良いのでしょうか。
本記事では、JAS認証の流れや取得にかかる費用などを詳しくご紹介します。
Contents
JAS認証とは?
JAS認証とは、一言でいえば「JASマークを利用するための認証制度」のことです。
JASマークとは、さまざまな農林水産物および食品などの品質・サービスマネジメントなどが規格に適合していることを証明するものです。
国から認められた第三者機関であるJAS認証機関の審査・認証を受けることにより事業者は認証事業者として認められ、自社が販売する製品にJASマークを付与できます。
JASマークが付与されている製品は一定の規格を満たしていると消費者にアピールでき、他社との差別化にもつながります。
JAS認証を行う認証機関は、JAS認証そのものの信頼性を担保するために独立行政法人農林水産消費安全技術センターが国際的な基準(ISO/IEC 17065)に適合しているかを審査します。
そして、農林水産大臣が認証機関を認定しています。
JAS認証は木材にも適用される?
JASマークは「農林水産物および食品など」に付与されると紹介しましたが、この文言だけでは抽象的で戸惑う方も多いでしょう。
特に、木材を取り扱う事業者にとっては線引が難しく、JAS認証を受けられるのか不安に感じる経営者も多いはずです。
製材も対象となる
結論からいえば、木材や製材といった林産物も農林水産物に含まれ、JAS認証が適用されます。
認証機関によっても認証可能な林産物は異なりますが、主に以下に該当するものはJAS認証に対応しています。
- 製材
- 枠組壁工法構造用製材
- 合板
- フローリング
- 集成材
- 単板積層材
- 構造用単板積層材
- 構造用パネル
- 枠組壁工法構造用たて
- 継材
- 直交集成板
また、上記のような一般木材以外にも竹材や漆、立木竹も対象に含まれます。
有機JAS認証は食品が対象
スーパーやコンビニ、道の駅などの生鮮食品を扱うお店で「JAS」マークを目にしたことがある方も多いはずです。
農林水産物および食品のうち、有機食品の認証制度として運用されているのが「有機JAS認証」です。
有機栽培によって育てられた野菜やフルーツを販売する際、商品名やラベルなどに「有機」または「オーガニック」という文言を使用するためには、「有機JAS認証」を受ける必要があります。
関連記事:木材乾燥はなぜ重要?やり方の違いや機械の特徴も解説
JAS認証の取得費用
JAS認証を取得するためにはどの程度の費用がかかるのでしょうか。
認証機関によっても認証可能な林産物は異なるほか、どの製品についてJAS認証を取得するのかによっても手数料の金額は変わってきます。
たとえば、標準製材の場合は新規のJAS認証取得に30万円から40万円以上、枠組壁工法構造用製材も27万円から40万円程度の費用がかかります。
ひとつの工場で複数の製材を加工・販売している場合には、その製品分の取得費用を支払う必要があります。
また、JAS認証は5年ごとの更新が必要です。この際にも新規認証時と同等の手数料がかかります。
関係書類の作成・発行手数料、検査業務のために審査員が現地へ向かう際の往復旅費・交通費なども申請者の負担となります。
関連記事:家具や木造住宅に使用される人気の木材の種類一覧やそれぞれの特徴
林産物の登録認証機関
林産物のJAS認証を取得する際には、どの認証機関へ申請を問い合わせや申請を行えば良いのでしょうか。
日本国内で林産物のJAS認証を行っている認証機関は以下の3団体があり、認証機関によっても林産物の種類は以下のように異なります。
所在地 | 連絡先 | 認証可能な林産物 | 対応区域 | |
公益財団法人日本合板検査会 | 東京都中央区東日本橋三丁目7番19号 | 03-6810-8710 | 枠組壁工法構造用製材
枠組壁工法構造用たて継ぎ材 集成材 直行集積板 単板積層材 構造用パネル 合板 フローリング 接着たて継ぎ材 |
国内・海外 |
一般社団法人全国木材検査・研究協会 | 東京都千代田区永田町二丁目4番3号 | 03-6206-1255 | 製材
枠組壁工法構造用製材 枠組壁工法構造用たて継ぎ材 |
北海道を除く国内・海外 |
一般社団法人北海道林産物検査会 | 北海道札幌市中央区北4条西5丁目1番地 | 011-251-7830 | 製材
枠組壁工法構造用製材 枠組壁工法構造用たて継ぎ材・素材 |
北海道 |
上記の表にあるように、認証機関によっても対応区域が限られているケースがあります。
たとえば、一般社団法人北海道林産物検査会では北海道からのみ申請に対応しており、それ以外の地域からは申請不可です。
関連記事:木材不足と木材高騰を招いたウッドショックの解説と原因について
JAS認証取得の流れ
実際にJAS認証を取得する際には、どのような流れで手続きや審査が行われるのでしょうか。
申請事業者側で行う手続きと、認証機関側で行われる手続きに分けて紹介します。
1.【申請事業者が実施】JAS認証への理解を深める
はじめに、JAS認証そのものへの理解を深めたうえで、なぜ自社でJAS認証を取得するのか目的を明確化します。
JAS認証には高額な手数料が発生するため、十分な費用対効果が得られるかどうかも慎重に検討する必要があるでしょう。
2.【申請事業者が実施】自社が基準を満たしているか確認
JAS認証の取得には生産設備や施設の広さ、スタッフの数、有資格者の数などさまざまな要件を満たさなければなりません。
現在の自社の状況と照らし合わせ、JAS認証の取得が現実的であるかを確認しておきましょう。
3.【申請事業者が実施】登録認証機関を決定
自社の体制や準備が整ったら、認証機関を選定します。
上記でも紹介した通り、日本国内には3つの団体が認証機関として登録されているため、自社の取扱商品に対応している認証機関を選定してください。
4.【申請事業者が実施】講習を受講
JAS認証の取得にあたっては、認証機関が指定する講習会に参加する必要があります。
品質管理担当者や責任者などが受講するケースが多いですが、業務内容や役割も考慮しながら受講者を決定してください。
5.【申請事業者が実施】申請書を提出
認証機関から申請書を取り寄せ、必要事項を記入のうえ添付書類も同封したうえで申請を行います。
申請する事業者が行う作業はここまでで、以降は認証機関側での審査に移行します。
6.【認証機関が実施】書類審査
申請事業者からの書類が認証機関へ到着したら、書類審査が行われます。
書類審査では必要な添付書類が揃っているか、申請書に記入漏れがないかといった不備を確認します。
この時点で不備があった場合、書類の再提出が求められることもあります。
7.【認証機関が実施】実地検査・製品検査
書類審査を通過したら、実地検査および製品検査に移行します。
事務所や工場などへ審査員が出向き、申請書に記載された内容と現場の状況が一致しているか、さらにJAS認証で求められる技術的要件を満たしているかも調査されます。
8.【認証機関が実施】認証決定・認証書の交付
実地検査と製品検査の結果、要件を満たしていると判断されれば「認証事業者」として認められ、認証書が交付されます。
ただし、認証後も不定期(年1回程度)の検査と実績報告(毎年6月)を行う必要があるほか、5年ごとの更新も求められます。
関連記事:日本の環境問題の救世主!再生可能な素材として『木』を使う?
JAS認証材はフルタニランバーにご相談ください
JAS認証の取得には多額のコストがかかるため、木材を扱う事業者にとっては大きな負担となります。
そのため、JAS認証材を取り扱っている事業者は決して多くなく、木材の市場においても流通量は限られています。
しかし、消費者からしてみればJAS認証材は信頼の証でもあり、一定の品質や要件を満たしていることから安心して購入できます。
多少価格は高くても、JAS認証材を選びたいという消費者は多いでしょう。
「JAS認証材を探している」方は、ぜひ一度フルタニランバーへご相談ください。
石川県金沢市のフルタニランバーでは、国内はもちろんのこと海外からもさまざまな木材を仕入れており、JAS認証材もご準備も可能です。
また、丸太や製材そのものの販売だけでなく、用途や目的に応じた木材加工にも対応しているため、加工の手間も最小限に抑えられます。
まとめ
農林水産物における一定の品質やサービスマネジメントを証明するJASマークは、JAS認証を取得した事業者のみが利用でき、このような制度をJAS認証とよびます。
製材や床材、構造材といったさまざまな木材にもJASマークは付与できますが、事業者がJAS認証を取得するためには多くのコストと手間、時間を要します。
信頼性の高いJAS認証材は市場の流通量も限られており、取り扱い事業者を探すのも簡単ではありません。
このようなお悩みを抱えている方は、ぜひ一度フルタニランバーまでご相談ください。