フルタニランバー株式会社
コラム「森のフルタニさん」
タモ材は産地によってどのような違いがある?高品質なロシア産タモ材の特徴も解説
投稿日:2021.10.05/更新日:2023.01.30
住宅用建材や家具の原料として欠かせない木材。
樹種によっても木材の特性はさまざまで、木造住宅の良し悪しは木材によって決まるといっても過言ではありません。
なかでも高級感があり上質な木材として知られているのがタモ材です。日本をはじめとしてロシアや北米、ヨーロッパなど、さまざまな国々で生産されているタモ材とはどのような特性をもっているものなのでしょうか。
今回の記事では、タモ材の産地や用途や価格相場についてをご紹介するとともに、特に品質が高いとされているロシア産タモ材についても詳しく解説します。
Contents
タモ材とナラ材の違い
間違われやすいそれぞれの樹種の違いを箇条書きします。
・ナラはタモより若干価格が高い。
・ナラの方が硬く、重い。
・タモの方がはっきりとした木目がある。
・ナラは洋風、タモは和風のイメージに仕上がる。
・色身はナラは黄色。タモは青みを帯びている。
・ナラは虎腑と呼ばれる腑が特徴。
・ナラはタモより反りやすく、狂いが出て扱いにくい。
・ナラの方が節が多い。
タモ材の主な産地と種類
一口にタモ材の原料となる広葉樹「タモ」は北海道から本州まで幅広く分布していますが、実は日本だけでなく海外においてもタモの産地は数多く存在します。
そして、産地によってもタモ材の用途や呼称も異なります。そこで、タモ材の有名な産地ごとに用途の違いや呼称について解説します。
タモ材|ロシア産
ロシアは世界有数のヤチダモの産地として知られています。
特にシベリアやサハリンといった極東沿海部で育ったタモは良質なものが多く、家具向けの用途として国内流通量が多いことが特徴といえます。特に無垢材を使用した高級家具では、ロシア産のタモ材が欠かせないほど定番化しています。
タモ材|北海道産
国産のタモ材として流通している多くは北海道産で、主に建材などの用途として活用されています。
ロシア産の丸太は太く大きいものが多いため、一枚板などに加工し無垢材として家具に使用することができますが、北海道産の丸太はロシア産に比べると小ぶりなものが多い傾向があります。
そのため、最適なサイズに加工してフローリング材や建材として使用されることが多いです。
タモ材|アメリカ産
北アメリカを産地としたタモ材は「ホワイトアッシュ」とよばれることが多く、その名の通り白い木目が特徴的です。
また、ロシア産や国産のタモ材は木目が詰まっている(間隔が狭い)のに対し、ホワイトアッシュの場合は木目の間隔が荒い(間隔が広い)のも特徴のひとつ。
なお、ホワイトアッシュの仲間で木目が黒っぽい「ブラックアッシュ」や、ギターなどの楽器に用いられる「スワンプアッシュ」といった木材も存在します。
タモ材|ヨーロッパ産
ヨーロッパ産のタモ材は、主に北欧を産地とした「ヨーロピアンアッシュ」のことを指す場合が多く、メリハリのあるはっきりとした木目が特徴的です。
その美しい木目を生かし、主にフローリング材や家具など幅広い用途に活用されています。
ロシア産タモ材の特徴
日本だけでなく、世界の国々で生産されているタモ材ですが、なかでも良質な産地とされているのがロシアです。
なぜロシア産のタモ材は重宝されているのか、価格相場の違いなども含めて詳しく解説しましょう。
ロシア産タモ材の歴史
ロシアは世界でも有数の森林大国であり、トップクラスの木材輸出量を誇ります。
2010年頃までは丸太の輸出で世界1位を誇っていましたが、その後製材や合板といった製品化にシフトしました。
しかし、それでも丸太の輸出量は世界2位のポジションにあり、豊富な木材資源を有していることに変わりはありません。
世界における木材全体の貿易量を見ると、丸太、製材、合板等いずれも上昇しており、その背景にあるのが中国をはじめとした新興国からの需要増加です。
目覚ましい経済発展を遂げている中国では新築住宅向けの木材需要が大きく、ロシア産タモ材も近年ではその大半が中国へ輸出されています。
ロシア産タモ材の特徴
北アメリカ産のタモ材はアッシュ、ヨーロッパ産のタモ材はヨーロピアンアッシュとよばれ、日本におけるタモ材の原料であるヤチダモとは樹種が異なります。
一方で、ロシア産のタモ材は日本と同様にヤチダモを加工したものであり、樹種は同一です。
ただし、冒頭でも紹介した通り、ロシア産のタモ材は原料となるヤチダモの丸太が太く大きいのに対し、北海道産のヤチダモは丸太が小ぶりなものが多いです。
成長の良いヤチダモは年輪幅が広く、比重も高い特性をもちます。
そのため、国産のタモ材よりもロシア産のタモ材のほうがずっしりと重く、強度も高いものが多い傾向があるのです。
ロシア産タモ材の価格相場
北海道産のヤチダモは生産量が少なくなっており、それに比例して価格も高騰しています。
一方、ロシアは世界でも有数のヤチダモの産地ということもあり、比較的安価に取引できます。
ロシア産のタモ材は高品質かつ安価ということもあり、日本国内においても高い人気を誇っています。
ロシア産タモ材の主な用途
高品質で安価なロシア産タモ材ですが、日本ではどのような用途に活用されているのでしょうか。
タモ材の代表的な用途をいくつか紹介します。
タモ材|集成材
集成材とは、複数の木材を寄せ集め、ひとつの木材として成形したものを指します。
寄せ集めと聞くとあまり良いイメージを抱かない方も多いですが、じつは天然材に比べて強度や耐久性が高く、優れた実用性を誇る部材です。
タモ材|フローリング材
タモ材は美しい木目が特徴的であり、その見た目を生かしてフローリング材として使用されることもあります。
国産やロシア産のヤチダモを原料としたタモ材だけでなく、ホワイトアッシュやヨーロピアンアッシュなど、木材本来の色合いの違いを生かし部屋の雰囲気に合わせることができます。
タモ材|巾ハギ材
巾ハギ材とは、複数の細長いタモ材を接着し、1枚の板のように加工した部材のことを指します。
集成材の場合は長い木材や短い木材が入り組んでおり、継ぎ目部分が見た目でも分かるようになっていますが、巾ハギ材の場合は同じ長さの木材を繊維方向を合わせて接着するため、継ぎ目部分が分かりにくく目立たないのが大きなメリットです。
タモ材|一枚板
ロシア産の大きな丸太を加工し、一枚板の無垢材をそのままテーブルの天板として利用する使い方もあります。
特に木目が美しい部分を一枚板として切り出すことで高級感のある天板に仕上がり、ほかにはないオリジナルのテーブルが完成します。
タモ材|家具材
十分な強度が確保できないタモ材はフローリング材や建材には向かないものの、タンスやテーブルといった家具の材料には最適です。
高級家具には無垢材が使用されることもあるほか、集成材や巾ハギ材を併用することによってコストも抑えられます。
タモ材|建材
タモ材のなかでも特に成長の良いものは、木材の密度が高く耐久性にも優れるため、柱や梁といった建材に使用されることもあります。
特に美しい木目のタモ材は柱に利用することで高級感のある内装に仕上がり、実用性とデザイン性を両立するためにも有効な木材といえるでしょう。
タモ材|バット用材
建材や家具の材料として使用されるタモ材はヤチダモを加工したものですが、じつはほかにも「アオダモ」とよばれる樹種も存在します。
しかし、アオダモはヤチダモのように大きく成長する木ではなく、建材などの用途に使用されることはほとんどありません。
アオダモは衝撃に強くしなやかな特性をもっているため、野球のバットに使用されることが多いです。
ロシア産タモ材の今後の動向
良質なタモ材の産地として知られるロシアは、これまでさまざまな国々へ木材を輸出してきました。
しかし、中国などにおける新築住宅の建設ラッシュによってロシア国内では森林の違法伐採が深刻化しており、環境保護が急務となっています。
そこで、ロシア政府は2022年1月からヤチダモを含む丸太の輸出を全面的に禁止することを決定しました。
これにより、従来は比較的安価に入手できたロシア産タモ材の価格が高騰し、入手が難しくなる可能性があります。
さらに、国産タモ材の価格もさらに高騰することが予想され、今後は北米産のホワイトアッシュやヨーロッパ産のヨーロピアンアッシュの需要がさらに高まっていくと考えられます。
フルタニランバーのタモの取扱い
当社の取扱い樹種のうち、タモは最も多くなっています。これまで板目、柾目材や各種用途向けに様々なサイズを在庫してきました。
今後も入手が困難になりますが、非常に人気のある樹種で仕入れ先と連携をしながら、在庫量を維持したいと考えていますので、ご興味を持って頂けましたらお気軽にご連絡ください。
タモ材などの弊社の製品情報はこちらから